まちのちからの活用

全国都市問題会議で、札幌へ行ってきました!

 先月、19日〜21日、全国市長会等の主催で行われた「全国都市問題会議」に参加してきました。
 毎年、その時々のテーマに沿ったさまざまな分野の第一人者や先進市の市長などが講演者・パネラーとなり、2日間に渡って、講演やパネルディスカッション等を繰りひろげます。今回は「都市の連携と交流〜まちのちからの活用〜」というテーマでした。
 会場が北海道札幌市のコンベンションセンターと遠いので、前日から現地に入り、周辺を見学する機会となりました。美唄市まで足を伸ばし、「アルテ・ピアッツアびばい」という廃校を美術館として開放しているところ(4月から美術好きの市民が立ち上げたNPOが指定管理者として運営しています。)を見たり、また、札幌市内の北海道東海大学のラベンダーを見学したりしました。大学構内の坂道の斜面に植えられていてちょうど盛りのきれいなラベンダーじゅうたんを目の当たりにしました。
 ラベンダーは、富良野が有名ですが、実は、日本に伝わった最初の地が札幌とのことで、東海大のすぐ近くの神社の入り口に「発生の地」の碑が建てられ、ラベンダーがきれいに咲いていました。

 札幌では、二人の偉大なアーティストの遺産というのがあって、一つは、20世紀を代表する音楽家レナード・バーンスタインが立ち上げたPMF(パシフィック・ミュ−ジック・フェスティバル)。
 彼は、1990年の第1回開会式で、「残ったエネルギーと時間を教育に捧げ、私の知っていることすべてを次に続く世代とわかちあう」と語り、そのわずか3ヵ月後に息を引き取ったそうで、その精神を今に引継ぎ、世界中から厳しいオーディションを勝ち抜いた若い音楽家の卵たちが夏の間、ウィーンフィルやベルリンフィルから招いた世界トップクラスの講師陣のもとに、技を磨いたり、またその成果を市内のさまざまな施設で発表したりする事業です。
 そして、もう一つの遺産が、「モエレ公園」。
 これは、彫刻家イサムノグチが、「公園全体を一つの彫刻とみなす」というコンセプトに基き、たてたプランに沿って札幌市が17年間に渡り、営々と造成し昨年完成した公園です。もともと不燃ゴミの埋めたて地であったところを、自らの芸術活動の集大成として84歳の誕生日にマスタープランを完成させ、やはりそのわずか1ヵ月後に亡くなるという、二つの事業の偶然の一致。かれは、自分の仕事の社会的意義を考え、人々に安らぎと平和をもたらすことを常に望んでいたという事です。
 この二人の遺産によって、札幌市は芸術の町としての発展とともに、経済効果への波及も、もたらしているそうです。

 どこのまちでも、今現在の風景は、それまでの歴史の結果として存在し、歩きたい場所や、そこに住みつづけたい一つの要因として人々の生活に影響している、歴史の恩恵にあずかっている・・・と言えるとすれば、 
 100年後200年後どんなまちを歩きたいか、どんな風景を残したいかは、今を生きる私たち市民が後世の人へ残せる財産であり、それは私たちの選択にかかっているのではないでしょうか。未来のまちをどんな風景にするのかも政治が大きく関わっています。自分のまちに一番思いが馳せられる市民の意見が反映されていく政治がやっぱり必要だ!と思いました。

  冒頭の写真は、札幌大通り公園に設置されたイサムノグチの作品です。「子どものお尻が、彫刻を完成させる」のだそうです。雪の中でも目立つ黒。

 これから、つくっていく「まちの風景」
 あなたは、どんなまちを、どんな心で作ったまちを歩きたいですか?