年は越せるか?

今年は年越し派遣村が必要ないように・・・

 「年を越す」というのは、日本人にとって特別なもののようで、年度の終わりの3月よりもさまざまな伝統行事があったり、お正月を迎える喜ばしい気持ちとともに、この一年やってきたなという感慨にふける時期なのかもしれません。「今年は無事に年が越せるかどうか」という言い方で、一年の節目に次の年以降の見通しも立てようという気持ちに自然となるのでしょう。本来なら新しい年に少しでも希望を持って少々のことがあっても、心機一転頑張ろうという時でもあるはずです。
 だからこそ、見通しがつかない未来を案じて、その命を絶ってしまう方も多くなる時期でもあるそうです。自殺の原因は人それぞれでしょうが、職も住まいも失った人が将来を悲観して・・・というのは、想像に難くないところではないでしょうか。
 今年の年末年始は、自殺者を一人も出さない!
 そうした決意が、国にも地方自治体にも必要です。

 昨年末、派遣切りで職も住居も失った人たちが数多く出たということで、非常に問題になったのはご記憶の方も多いかと思います。その時に「年越し派遣村」の村長として支援を行っていた湯浅誠さんが、現在、貧困問題の現場の活動とともに、「国家戦略室の参与」として、国でダイレクトに政策作りにかかわりだしているとのことです。
いくつかの提案をしています。
◆年末年始のハローワーク・自治体の福祉事務所の開庁
◆臨時住宅の確保
など、ほかにもまだまだたくさんの提案をされているようです。

 国が動き出すのと同時に、各基礎自治体でも、それに呼応する準備、そして「心意気」を見せることが必要ではないのかと、先日、年末年始の相談の受け入れ体制や住宅確保の情報収集など準備がされているのか否か、担当課にお聞きしました。

 国が要請している福祉事務所の職員(市の職員)のハローワークへの派遣・・・これは、逆に、ハローワークの職員が各自治体の市役所に出向してくれたほうが、利用者のためにも効率が良いのではないかとのお話でした。福生などでは、青梅や立川のハローワークに出向くより、利用者(当事者・相談者)に身近な市役所に訪れたほうが近いし、福祉的な相談もトータルにすることができます。受け入れる準備はあるそうなので、ハローワークが人を出してくれさえすればすぐできます。
 また、ハローワークに訪れた方が、その場で各自治体の福祉施策につながることができることも大事ではないでしょうか。しかし、これは普段から、ハローワークの仕事の範疇として行うべきことなのだそうです。実態は、ほとんど福祉的なインフォメーションはされていないようですが、この機に、ハローワークでの機能をアップさせてはいかがでしょうか。自治体ごとのマニュアルがあれば、施策を紹介して、情報提供することぐらいできるのではないでしょうか。自治体はそうしたマニュアルの作成と提供をハローワークにしていくことはしているでしょうか。
 また、職や住まいをなくし、途方に暮れている方の支援は、単に物的なものだけでは済まないと思います。精神的な部分を支えるためにもカウンセラーの配置なども同時に行う必要があるのではないでしょうか。
 民間アパートや公的な住宅にどのくらいの空きがあるのか、緊急的な住居の確保に協力してくれる大家さん・不動産屋さんはいないのか、まずは、対話を始めるべきいではないでしょうか。

 福生市では、住宅補助の申請窓口に、青梅のハローワークの求人情報をファイルにして置いておくという対応をしています。福生市役所に来れば、職と住・・・生活の相談がトータルにできる環境があるということです。
 こうした、各自治体の(小さいけれど)きめ細やかな「やる気」これこそが、「目の前の人を絶対に助ける!」という心意気から来るものだと信じます。
 年末年始も市役所には必ず誰かがいて、生活相談には、必ず担当課につなげ、答えてくれるということです。職員の方も大変でしょうが、生活に困難が生じた方は、24時間昼夜問わず、困っているのです。市役所に行けば、電話すれば、とりあえずなんとかなる。そして、真の生活再建のためにも相談に乗ってもらえる。そういう頼りがいのある市役所になっているそうですので、安心しました。

 そして、そのことが、ちゃんと困っている人のところへ届くインフォメーションも大事ではないでしょうか。去年どうして派遣村に全国から集まってしまったのか。そして、どうして、生活困窮が原因と思われる自殺者が全国でたくさん出たのか。身近な自治体でそれぞれがみんな対応しているというのに、どうしてか。やはり、困った人のところへ、「そうだ市役所に行ってみよう!」と発想が生まれなかったからではないでしょうか?
 頼りになる市役所のことを、もっとみんなが知るように、HPと市報だけでない、対策が急がれるのではないかと感じます。