八ッ場ダムの検証ウソORホント?

鉛筆は使うと減るけど、民主主義は使わないと減る!!

100人入れる会場がいっぱいでした。その中で、都議会生活者ネットワーク 西崎さんも発言!1都5県の議員が多数参加していました。
100人入れる会場がいっぱいでした。その中で、都議会生活者ネットワーク 西崎さんも発言!1都5県の議員が多数参加していました。
 八ッ場ダムについての集会に行ってきました。(18日13:30〜16:00 於:コアいけぶくろ)

 八ッ場ダムの建設中止は、無駄な公共事業の見直しということで、政権交代を果たした現政権が進めようとしていますが、地元住民が中止の反対をしているなどの報道がされ、注目を集めています。
 生活者ネットワークでは、かねてより取り組んできたテーマでもあります。東京の多摩地区が飲み続ける地下水(日量40万㎥)を正式な水道水源としてカウントしない背景に、八ッ場ダム建設がある。本当に必要か否かを検証していくと、疑問ばかり。なぜ、いらないダムに予算を投入し続けるのか・・・一度計画されたら、なかなか後戻りできない公共事業だけど、長い年月がかかってしまうこともしばしば。その間に、社会状況も変わっていく。そうした時に見直しをして、時にはストップする勇気を持つことを訴えてきました。
 今日の緊急集会は、「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」と「八ッ場ダムを考える1都5県議会議員の会」の共催で行われ、今、報道で取り上げられていることなどを検証していきました。簡単にご紹介します。
検証①八ッ場ダムは、継続するより中止したほうが高くつく? 
 事業費4600億円とされていますが、継続すれば、東京電力への減電補償の大幅増額(吾妻川の大半を取水している5つの発電所への発電減少分の補償)や、貯水予定地の周辺で地滑りの危険性が国の調査で23か所も指摘されていて、その対策費が膨れ上がる可能性が大きいこと、また、関連工事の進捗率が低い(たとえば、付け替え国道は、予定の6%しか進んでいない)ことから、追加予算が必要になる可能性が高いのです。それに比べ、中止をしても必要な予算(生活関連事業)を使っても、1620億円中止のほうが安くなると計算が出ていますので、この①は誤りということになります。
 ※減電補償・・・そんな補償をしなくてはならないなんて!! 吾妻川にある東電の水力発電所への送水が、八ッ場ダムに水を貯めるためには減らされるわけですが、それによって、発電量は年間22,400万kWHも減るのだそうです。
検証②八ッ場ダムは、すでに7割もできているので、いまさらストップできない?
 ①の通り、事業費の7割を使ってしまったということで、工事の進み具合としては、本体工事は未着手の状態だし、全体で2割にも満たない状況です。
検証③八ッ場ダムは、中止になると、利根川の水を使う権利がなくなる?
 今まで、数多くのダムが中止されてきているけど、暫定水利権(ダムができたときに水を使う権利があるとあらかじめ認めておくもの)が認められていて、中止後に権利がなくなったことはないそうです。
検証④八ッ場ダムは、利根川の渇水対策として重要?
 重要とは思えません。八ッ場ダムは事業費は大きいですが、利水容量は小さいダムなのです。しかも夏場は、洪水調整のために水位を下げることになっているので、2500万㎥しかない。一方、利根川水系にはすでに、11基のダムがあり、それらの夏期利水容量は、4億3329万㎥あるので、八ッ場ができても、約5%増えるだけです。
 ついでに、洪水対策の治水についても、1947年のカスリーン台風と同じ程度の台風がきても、治水効果はゼロであると、国交省の計算によって明らかになっているのです(2008年6月6日政府答弁書)それより利根川は堤防決壊の危険個所が各所にあり、堤防の強化のほうが優先的に早急に行うべき事業です。
検証⑤ダム予定地の生活再建と地域の再生について
 ダムありきで、観光を中心としたまちづくりを描いてきたのに・・・と、ダム受け入れをしてきた方々はおっしゃいます。しかし、ダム湖は観光資源にならないのです。
 地元の方々がプレゼンテーションで見せられたような、きれいな水が貯まることは、周辺状況からむずかしいそうです。今は、流れているから問題がないそうですが、吾妻川上流にある観光地や牧場などから多量の栄養物が流れてきているので、それがダムとなって貯まったときには、浮遊性藻類の増殖により汚れた水が貯まるダムになるのです・・・。現在の美しい吾妻渓谷や、集会で発言のあった、希少な「八重咲きかざぐるま」という絶滅危惧種も自生しているそうです。そうした自然環境を保全しながら、共生しながらアピールするエコツーリズムを目指すことこそ、観光や地域再生につながるのではないでしょうか?

 「生活再建・地域振興法」の制定に、地元住民の合意形成を保障することを盛り込むことが重要です。

 公共事業の見直しも、ダムのストップも、地域再生も、市民が関わり、市民が発信してこそです。まちも国も市民がつくるのです。
 ダムの訴訟の弁護団である、広田弁護士の、「民主主義は使わないと減る」という言葉が印象的でした。
 

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