実験では、牡蠣などの二枚貝のもつ水質浄化作用を利用しているとのことで、実際に牡蠣を見せてもらいました。・・・マリンガーデニングというのだそうですね。そういえば、ずーっと以前に聞いた「森は海の恋人運動」で、牡蠣の養殖をされている漁師さんが、水質を良くするために、山に落葉広葉樹を植林していましたが、牡蠣は、日量ドラム缶1杯の水が、体の中を通っていくとのことで、水の汚れを体に一旦入れて、きれいな水にして出し、汚れも牡蠣の排泄物となって海の栄養になる。牡蠣自体には残らないので、食べても大丈夫といっていたような・・
東京湾でさまざまな実践をしているこのNPO。理事長の関口氏が子どものころは、ふつうに泳げた東京湾、漁業の盛んな東京湾が、汚れて泳げなくなってしまったことに、心を痛め、活動を始められたとのことで、子や孫に豊かな里海を引き継ぎたい・・・そうした思いが伝わってきました。
そもそも東京湾は牡蠣がよく取れるところだったとのことで、明治27年には2500tの水揚げがあり、養殖でも明治38年に1万tを超える生産をあげ、全国1位になるなど、牡蠣の主要産地だったとのこと。現在は、水質がかなり良くなってきており、昨年の検査では、大腸菌も0という値だったそうです。泳げるところまで来ているのではないかとのことですが、まだ、「遊泳禁止」の看板は取り外してもらえないそうです。今年の夏は、単発的に「楽しく遊び、泳ぐイベント」を開催する準備を進めているとのことでした。
一般に呼び掛けて、潮干狩りイベントで、親子でハマグリを採って、最後に稚貝を放流するという里海体験イベントも毎年行っているそうです。
さて、この関口氏、本業は建築家ということですが、ご自分のマンションとご自宅に、美術館を併設なさっていらっしゃいました。ご所蔵の彫刻などを中心に展示がされているのを拝見しました。一般には、500円で見ることができますが、マンションの住人のかたはタダ。みんなのリビング、みんなの庭ということで、「美術品のある生活」を提供していらっしゃいます。美術品の持つ力に影響されながら、子どもが育つ環境づくりを、私たち生活者ネットワークにも進めてほしいと要望されました。
また、屋上農園も見せていただきました。住民の方が申し込んで1区画ずつ野菜を作っているとのことでした。(下の写真の一番左側)こんな風にビルの屋上を畑にしていったら、東京も自給率が上がるのではないでしょうか?
雨水利用もされていて、水道水の蛇口と、雨水が出てくる蛇口が並んで備えてありました。ビルを作る段階で、いかに暮らしを想像し、自然との調和を模索するかを考えた上で設計していけば、いろんなことができるのだなと思いました。
また、ご自宅のとなりの美術館東館から、ご自宅を眺めると、こちらも屋上に雨水が溜めてあり、滝として流して、お庭のビオトープに流れ込むようになっているとのことで、滝も見せてもらいました。写真の一番右のが、滝が流れているところですが、見えるでしょうか?(奥の球体のところなど)
「水」との暮らし。
そこにある自然を最大限活かして、共生していく暮らし。
考えていきたいですね。
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