杉田先生は、政治そのものが問われている今、議会の役割の再評価をすべきとしました。
しかし、最近の状況をみると、自治体における二元代表制への批判。首長が住民を代表していて、議会は首長が出してきた議案の追認機関のようになっている。これでは、議会不要論が出てきても当然です。
社会全体を取巻く、経済情勢の落ち込みの苦しさもあって、人々は、政治に対してスピードを求めるようになっていることもあります。
これまで、首長に対して、市民が直接対話を求めていくことや市民参画は、一部は取り入れられて来ていますが、議会への市民参加や、議会と市民の対話という点では、まだまだ徐々に語られ始めたばかりで、自治体によっても大きな差があります。
こうした様々な状況や、社会全体としても、トップダウンでスピード感をもって進む「企業モデル」が、ガバナンス(統治)のモデルとして求められるようになっていると、杉田先生は指摘されました。戦後60年で、一番成功していると認識されていることも手伝って、政治の世界も、大学等教育界ですら、企業モデル・・・トップダウンの決定重視で進むことを良しとする流れになっていると。
これはしかし、「熟議」「討議」とは対極にある形であり、民主主義にとって危険です。
社会には、いろいろな顔があり、「間違っている」と「正しい」に分けられない。
「正しい多様な顔がある」
ここに、調整する政治の役割がひとつある。
自治体議会・自治体議員に求められるものは、「こうゆう論点がありますよ」と指し示すこと、そして、議会は議論ができる場であることを証明していかなければならないと。
この「議論のできる議会」に関しては、私もいままでの慣例を見直し、議会改革していく必要性を感じています。議会では、賛成者と反対者の意見をそれぞれ発表する場面はあっても、議論しそれを融合させて、両方のいいところを取って、議案を修正することはほとんどないのが現状です。
杉田先生からはさらに、社会が産業化・工業化した後の、これからの時代に、環境・ジェンダー・子育て・福祉といった課題への政策が必要である。こうした課題が産業振興に結び付くことの説明が不足しているとし、生活者ネットは、充実した生活課題の政策から、社会をリードする役割として期待するとエールをいただきました。
また、議員が職業化、中には、家業化する中で、一市民が政治参加していこうとする生活者ネットの姿勢にも、評価をいただき、市民がどう政治に直接参加していくか、参加を広げる役割も生活者ネットが担うことを、あらためて確認できた講演会となりました。