オリンピック招致決議に対する反対討論
今回のオリンピック招致については、「東日本大震災からの復興」をメインテーマに掲げているようですが、なぜ、それを東京で行うのでしょうか?
東京は、1964年にも開催地となっています。その時は、戦後の復興を示す意味があったとして、また、これからは平和に世界と付き合っていく宣言として、意味があったかもしれません。しかし、今回、同じような発想で、復興をメインにするなら、東北が手をあげて、オリンピックを目指して、これからの持続可能なまちのモデルをつくり、世界への発表の場とするとか、であるなら、そしてそこに東京として支援するなら、まだわからなくもありませんが、復興をテーマに何かするのであれば、今は、東北に、直接的に支援の手を差し伸べる時期が過ぎたとは到底思えません。商店街にオリンピック招致の旗をはためかせるのではなく、やるべきことはたくさんあると思います。
2016年のオリンピック開催地決定に対しても東京は手をあげ、その招致活動に広告代理店に支払った約80億円を含め、合計約150億円もの税金を使ってしまったことは、多くの都民から批判を受けました。
また、首都直下型の地震が4年以内に70%の確率で起こると東京大学地震研究所が発表しています。直下型でなくとも、東海地震も心配されており、ひとたび大地震となれば、どんなことになるかは、1年前のことは記憶に新しい中で、東京を開催地にと手をあげる発想は、まったく理解できません。
さらに、仮に東京オリンピックが実現したとして、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能の影響が、その時にどの程度になっているのでしょうか。セシウム137は、半減期が30年。30年たってもたったの半分にしかならない。また、専門機関が時間をかけて調査しなければなかなか検出が難しいストロンチウムやプルトニウムの調査もできないない、やる気がないこの国の状況で、目指すオリンピックまでに、どんな対応がされるのか、まったく不透明であり、放射能の怖さを日本よりきちんととらえて対策しているヨーロッパをはじめとする諸外国が、大切な自国のスポーツの一流選手を送り込むとは思えません。
今、東京が優先すべきことは、たくさんあります。被災地への復興支援の継続はもちろんのこと、再生可能エネルギー中心の持続可能な社会をつくるモデルを東京から発信すること。教育、福祉、いのちを守る対策についても、まだまだやるべきことはたくさんあります。福生は待機児童が少ないですが、東京全体では保育園の準備もできずに何100人という待機児童を出している現状、障がい者のひとりひとりの暮らしに寄り添った事業の展開など、基礎自治体がやりたいことを助ける役目も都が担うはずですが、不十分です。東京が優先させることはたくさんあります。東京はオリンピックに寄らなくても、こうした今ある社会の課題を解決していくことで注目される要素はたくさん持っています。こうした人の命と暮らしに目を向けることで一番を目指すことこそが、世界から注目されることにつながります。といったことから、福生市議会からこの、オリンピック・パラリンピック招致についての決議をあげることを反対いたします。
以上です。
残念ながら、この討論を行った後の採決で、賛成多数により、福生市議会からの決議はあげられることになりました。
6月1日の、NHK時事公論によると、開催立候補予定都市に選定された24日の深夜0時からのニュースウェブ24に1363もの声が全国から寄せられたそうです。「震災復興なら仙台で開催を」経済効果は一時的」「電力不足、放射能の不安の中で行う必要があるのか」「税金の無駄遣いになるのでは」というものだったそうです。2度目をめざす理由が見当たらないと世論は言っています。