東京自治研究センターの主催する月例フォーラムで、NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長/反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠氏を講師に招いて、学習会が開かれました。
ものすごい勢いで増える生活保護世帯。でも、日本では、条件を満たしていても受給にいたっていない世帯が、75%もあるそうです!
それだけ苦しい生活を強いられている人たちが多いということです。
そして、最低限の生活の保障という、社会のセーフティーネットであるはずの制度の生活保護費を国は押さえたいがために、いわゆる水際作戦といわれるやり方で、増えないように努力しているのです。社会保障費全体で2200億円減らすという骨太の方針が出され、その達成のために、各自治体が締め付けられている。
医療費削減策でもあるジェネリック薬について、生活保護受給者へ希望するように指示をしなさい。そして希望しなければ受給を打ち切も考えなさいとする通達が国から出されたということです。(さすがに国会で問題となり、撤回されたとのことですが)
次に出されたのは、未承認薬を生活保護受給者が希望するように促しなさいというもの。
お医者さんで処方される薬は、新薬(新しく承認された薬は、特許を取ってある一定期間、開発した製薬会社が独占的に売ることができます。ジェネリックは、この特許の期間が外れ、他の会社でも安く作れるようになったもので、お医者さんに言えば、こちらを処方してくれて、薬代の節約になります。医療費全体でも削減につながるので、国はこのジェネリックの使用が増えていくことを奨励しています。
また、未承認薬は、外国では使われている薬で、まだ日本の厚労省の認可が下りる前の薬を、臨床試験していくために、実際に患者さんに協力を仰ぐものです。
しかし、大・大・大前提にあるのは、患者本人の意志・希望です。生活保護を受けているからと言って、どの薬を使いたいかの決定権は患者本人にあるはずです。ましてや生活保護費の打ち切り云々を引き合いに出すなんて、言語道断!あってはならないことなのに、厚労省の通達に書いてあるとは!
よく問題になる、生活保護=社会のお荷物・・・的な発想は、逆に人々の心をさらに貧困にさせていくのではないでしょうか。
現代の社会が持つ、いつでも誰でもがすぐに「貧困層」へ移っていく可能性が高い構造。
その中で、窓口に立つ者も「仕事しないやつのために」と思い、扱いきれないほどのケースを担当し、思うように身動きがとれない不満を抱えている。受給されるほうも「役所の人間は、決まっていることなのに、受給の決定を出さない、受給が始まってからも担当ケースワーカーは、大して相談にも乗ってくれない」と両方で攻め合っている。
窓口の職員も、また、もちろん受給しようしている人たちも、みんな苦しんでいる。
そうした悲しみの構造。
人が人間扱いされない今の現状は、なんとかしていかなくては!!
湯浅 誠氏