SSWrの取り組み・・・寺子屋お~ぷん・どあ
SSW・・・スクールソーシャルワーカーは、勉強に向き合えないとか、不登校など、課題を抱える児童・生徒に対して、その子に寄り添った支援をしていく役割で、家庭も含めて、トータルにその子にかかわって行きます。
2008年文科省によって活用事業が始まりましたが、福生市でも、東京都の調査研究事業の委託を受ける形で、都内ではいち早くスタートし、現在も、3名のSSWが、市内10校からの要請を受けて活動しています。
スクールカウンセラーが、相談室に訪れる児童生徒、または保護者からの相談を受けるのに対し、SSWは、能動的に動き、必要な各機関ともつないでいく、ネットワーカーの役目もあります。両方が重要な役割だと考えます。
たとえば、家庭に問題があって、外で暴力的になっている子どもがいたとして、そこをしかるだけでは、問題解決することができない。そういったときに、SSWは、児童生徒へ寄り添って、支援・ケアし、同時に、家庭の問題も解決に導きます。こうした丁寧な個別ケアは、問題が複雑化している現代において特に必要で、トータルに解決しなければ、子どもの命を救い、守ることはできません。
今回、視察させていただいたのは、静岡市にある、【寺子屋お~ぷん・どあ】という居場所。登呂遺跡のすぐ近くでした!
SSWの活動からも見えてきた、「もっと早く出会って支援を始めたい」という思い。問題が表に・・・非行や不登校となって現れたり、また、何年も苦しい状況に置かれながら、支援の手が差し伸べられなかった子どもたちのケアは、また、その同じ年月をかけなければ、その子が自己肯定感を持ち、自分の人生に向き合って切り開いていこうと力を出し始めるまでには、回復しない。そうした、現状を見てきた、社会福祉士の川口正義さんが、SSWの仕事もしながら、この場を自費で立ち上げました。
ここでは、以下のような事業を行っています。
◆教育福祉相談
◆自助グループの活動支援・・・たとえば、虐待寸前で悩むお母さんたちのグループなど、おとなももちろんケア
◆子育てレスパイトサービス・・・乳幼児を預かって、子育て中の方が、疲れをいやしたり、自分らしさを取り戻す時間を提供。パチンコに行くときに預けたってOK
◆オ~プンスペース・・・子ども・青年・おとなたちが集い、参画し、活動する中で、素の自分を表現できる居場所。グループタイムや、マンツーマンタイムなど、その利用者に合った利用の仕方ができる。
◆個別訪問・・・相談は、ここに来るだけではありません。「あなたが一番安心できる場所はどこ?」と尋ね、いつ・・・時間、どこ・・・場所、どうゆう会いかたを聞いて合わせていきます。中には、カラオケボックスで歌いながらということも。
◆レストホーム・・・家を一時的に離れる必要がある人、虐待やDVなどの被害がある場合などの支援
◆その他講演会など、情報発信も。
さまざまな事業を行う中でも、「ナイトサービス」を担当する杉村さんにも、お話をお聞きしました。
ナイトサービスは、6時から9時という時間帯に、やってくる子どもたちへ、学習支援・夕食支援・余暇活動の3つのサービスを提供します。
特に、夕食支援では、「今日何食べる?」から始まって、買い物に一緒に行き「どれを買う?」となるべくその子自身が選ぶ場面を作ります。もちろん、料理も一緒に行います。こうして、自己決定・自己選択の機会としていくのです。
これは、生きる力につながる大切なことです。
家庭で充分にケアされない、逆に、安心できない場所になってしまっているような家庭もあります。そうした状況から、子どもたちを救い、生活体験をすることで、子ども自身に生きる力をつけていく。それは、自己肯定感の回復とともについていくものでもあると考えます。
この場の運営には、公的な補助が入っていません。
一部、テーブルやソファベットなど大きいものを購入するのに、県の社会福祉協議会ふれあい基金から助成金をもらったそうですが、他は、賛助会員の会費で主に回しているとのこと。
行政とのつながりは、教育委員会に「連携」を要請し、一緒にこの場の理解を広めてもらうことをしているそうです。
また、SSWとしての動きも、福生と静岡では、だいぶ違うことがわかりました。
SSWに求められる役割として、学校と福祉の連携ということなのだと。
◆【個別ケア】は、ケースごとにその子にとっての最善の利益はなにかという視点で、関係機関とつないでいくネットワーカーとしての機能。
◆【スーパーバイザー機能】は、学校全体を福祉の視点でアセスメントとプランニングしていくマクロ的な仕事。
こうした教育と福祉の連携を具体化するのに、社会福祉士という専門的な観点からかかわるり、教育現場への理解を広げていくことも重要な役割なのだということで、学校の先生方とコミュニケーションをとって、いかに、好意的に理解をしてもらうかに心を砕いていらっしゃるかということもお聞きしました。
福生では、人材に頼る形でスタートしている状況で、これが悪いわけではなく、むしろ、かなりの成果・・・子どもたちが救われている・・・ととらえていますが、次の段階として、こうした「教育と福祉の連携の具体化」をさらに進める必要性を感じます。
教育の担当者と話しても、福祉の担当者と話しても、連携が必要だと言葉が出ます。少しずつ始まっている連携を、大きく専門家の目で整理していくことが必要ではないかと思います。